血液透析は、腎臓の働きを補うために体内の老廃物や余分な水分を取り除く重要な治療です。
しかし、長期にわたって透析を続けるうえでは、さまざまな合併症が生じる可能性があります。
当院では、患者さまが安心して治療を継続できるよう、合併症の早期発見・予防・適切な管理を重視した体制を整備しています。
医師・看護師・臨床工学技士が密に連携し、症状の変化を見逃さないよう毎回の透析前後で丁寧に状態を確認し、必要に応じて検査や治療計画を見直しています。
よく見られる合併症と当院の対応
透析患者さまに多く見られる合併症には、血圧異常や貧血、心血管系のトラブル、骨代謝異常、皮膚症状、シャントに関連する問題などがあります。
当院では、患者さまの状態に合わせてきめ細やかに管理を行い、症状の進行を防ぐための対策を講じています。
●血圧の変動(低血圧・高血圧)
透析中に血圧が大きく下がる「透析低血圧」はよくある症状です。
当院では、透析中の循環動態を細かくモニタリングし、血圧の変動に応じて除水量や透析条件を調整することで安全に治療を続けられる環境を整えています。
また、慢性的な高血圧に対しては、薬物治療、塩分制限の指導、体液管理の調整などを組み合わせ、無理のない範囲で安定した状態を保てるようサポートしています。

●貧血(腎性貧血)
腎臓の機能低下によりエリスロポエチンの産生が減少し、貧血が進行することがあります。
当院では、定期的な血液検査でヘモグロビン値を管理し、必要に応じてエリスロポエチン製剤の投与や鉄剤治療を行っています。
貧血の改善は疲労軽減や生活の質向上にもつながるため、患者さまの体調に合わせた調整を丁寧に行っています。

●骨・ミネラル代謝異常(骨粗鬆症・副甲状腺機能亢進症)
透析患者さまは、カルシウム・リンのバランスが崩れやすく、骨粗鬆症や動脈硬化のリスクが高まります。
当院では、血液検査による定期的な数値管理を行い、リン吸着薬の調整、活性型ビタミンD製剤の投与、食事指導などを組み合わせた治療を行っています。
骨の健康は長期的な生活の質を左右するため、早期から適切なケアを実施しています。

●心血管疾患(心不全・不整脈など)
透析患者さまは心臓への負担が大きく、心不全や不整脈といった心血管疾患が起こりやすい傾向があります。
当院では心電図検査や胸部レントゲン、心臓超音波などを定期的に行い、異常があれば早期に治療を開始します。
また、除水量・除水スピードの調整を慎重に行うことで心臓の負担軽減に努め、安全に透析を続けられる体制を整えています。

●皮膚症状(かゆみ・乾燥)
透析患者さまの多くが、皮膚の乾燥やかゆみを訴えられます。
当院では保湿ケアの指導や、必要に応じて内服・外用薬の処方を行い、症状の緩和をサポートしています。
また、ミネラルバランスや副甲状腺機能が影響する場合もあるため、検査結果を踏まえて治療方針を検討します。

●シャントトラブル(閉塞・感染など)
シャントは透析治療の「生命線」ともいえる大切な血管です。シャントの閉塞や狭窄、感染を防ぐため、当院では透析ごとに状態を確認し、違和感や血流の変化があればすぐに精密検査を行います。
必要に応じて、血管外科や専門医療機関とも連携し、迅速な治療につなげています。

合併症の予防に向けた取り組み
合併症は「症状が出てから対処する」のではなく、「症状が出る前に予防する」ことがとても重要です。当院では、毎回の透析前後の問診・観察に加え、定期的な検査で体の変化を早期に捉え、悪化を防ぐ体制を敷いています。
●定期検査の徹底
・血液検査(貧血、ミネラル、炎症反応など)
・心電図・胸部レントゲン
・体組成の変化(ドライウェイトの調整)
・シャントエコー
などを定期的に行い、合併症リスクを幅広くチェックします。
●透析条件の適切な調整
除水量、透析時間、透析液の組成などを細かく調整し、患者さまの体への負担を抑えた治療を提供します。
●感染予防対策
透析室の衛生管理を徹底し、穿刺部位やシャントの管理についても厳密な基準を設けています。患者さまへの手洗い・スキンケア指導も行い、院内感染を未然に防止します。
●生活指導
食事・水分管理、服薬の徹底、運動習慣のアドバイスなど、日常のケアが合併症予防につながるようサポートしています。
患者さまに寄り添うケア体制
当院では、透析治療を「生活の質を守る医療」と捉え、合併症への不安を少しでも軽減できるよう、常に患者さまの声を大切にしています。
- 体調の変化を見逃さない丁寧な観察
- 気になる症状や不安を気軽に相談できる環境
- 必要に応じた専門医療機関との連携
- 長期的な視点での健康管理
こうした体制のもと、患者さまが安心して透析生活を続けられるよう支援しています。



